『練馬の歴史的建造物』の葛城明彦先生の講演
9月13日(日)、練馬区立図書館・第2回5館合同歴史講座
9月13日(日)、練馬区立図書館・第2回5館合同歴史講座が開かれ、石神井図書館会議室でオンライン+スクリーンの『練馬の歴史的建造物』の葛城明彦先生の講演を聞きました。渡されたレジュメは8ページにも及ぶ誠に優れた資料でした。葛城先生は郷土史家で作家、詳細な調査に裏付けられた30近い歴史的建造物を時折ユーモアも交えてまじめな話に飽きないように工夫されながら、約2時間を語りつくされました。
我々石神井の住民には馴染みの場所がたくさん現れました。なかでも旧日本銀行グラウンド・クラブハウスが傑作でした。つまり現在は石神井公園ふるさと文化館分室(練馬区立松の風文化公園内)になっていますが、かつては戦時中に陸軍に接収され謀略機関「登戸研究所」の分室になり、偽造紙幣の保管・管理などが行われたというくだり。「日銀が”偽造の紙幣?”」って変な感じがして思わず笑っちゃいました。
今でも半円形をモチーフとしたアール・デコ調建築様式、ステンドグラスが嵌め込まれた窓、一階の壁には日銀の紋章であるライオンのレリーフも現存しているそうです。1階には小説家・檀一雄の書斎の再現、2階には作家・五味康祐所有のオーディオ装置を展示。このようにふるさと文化館の皆さんに大事にされていますから、ようやくこの建物も落ち着けた感じがしていることでしょうね。
石神井村の栗原鉚三村長が貸し出した三宝寺池南側の土地で営業していた豊島館・武蔵野館・見晴亭(みはらしてい)と、天才バイオリニストや小説家や作家や芸術家など集ったアパートだった話は、同じように漫画家たちがここで花見したり集まったりしたという実話も思い出させて、石神井の地域史の懐の深さを十分に感じさせてくれましたね。
こんな面白い建造物が今は残っていない理由は、文化財維持費に堪えられなかったからだそうです。そういう意味では、石神井公園内で唯一現在も営業を続ける茶店である豊島屋さんが残っているのも、2007(平成19)年解体され2010(平成22)年に区立池淵史跡公園内に移築復元された区内最後の茅葺き屋根農家「内田家住宅」があるのも、お金が工面できたからなんですね。
ほかにもこの界隈にやたら多い長屋門の話や三宝寺池の対岸同士を繋いだ三宝寺橋、石神井ボート池の中の島の両岸の太鼓橋や池中の「聖衣」の由来など、石神井の住民には誇りとなる歴史的建造物があちこちにあるんです。
ツアーでも組んでみたらどうですかね。もちろん石神井以外の建物の話もいっぱいしてくださいました。30近いものを一つひとつ丁寧にやってくださいました。素晴らしい講演を聞かせていただき本当にためになりました。ありがとうございました。